ヒロミチ

ヒロミチお兄さんがいた。
学校へ行く為、地元の駅にチャリで向かい駅前を通りかかった時、カメラの前で何やら決めゼリフとポーズを決めている人がいる。服装も何やら派手。
その回りをよぉく見ると、なんだかまばーらに人集り。妙に、駅の掃除のおっちゃんおばちゃんらが多い。いつもはそんなに人数がいる気はしないのだが…
で、当人の顔を今一度よぉぉぉく見ると、見覚えがあるような。多分、芸能人だ。うーむ、名前が出て来ない。
その人は、件の決めポーズ撮影が終わると、回りにいた数人と握手をして早々と車に乗り込んでしまった。顔はわかるが、名前が出て来ない。
あの人はなんて名前だっけー、と考えながらホームにたどり着く。元ホストの方じゃなくて、、、体操をしてて、、、あ、ヒロミチお兄さんだっ!
なるほどなるほど、と言った具合ですっきりと電車に乗り込む。そして、がたんごとん揺られながら、ヒロミチお兄さんは確か、清水ヒロミチさんって名前だったな、と言った具合にフルネームまで思い出せたぞ。おれ、今こそ絶好調!
ものすごくすっきりした気分で、行く前に丁度届いた物性研究のバックナンバーを取り出す。封筒には湯川・朝永生誕100年の記念シールが貼ってある。物性研究もなかなか洒落たことをするじゃないか。後でこのシールは、切り取って取っておこう。雑誌の内容も、取り寄せた甲斐がありそうだ。これで千円は安い。Gmailで申し込んでしまった手前、早めに郵便局で支払わないといかんな。
思い立ったらすぐ行動したいのが性であるのか、早速郵便局を語らせたら右に出るものはいない、頼れるA君にメール。学校の近くにある郵便局の場所を聞き出す。なんだか、よくわからない指示の仕方だったが大体の場所はわかった。
降りる駅に着くと、すかさず郵便局へ。途中、少し迷って何やら忙しそうに自転車を取り囲んでいる警察官に道を聞こうかと、さっき通り過ぎた交番の方を振り返ると、その先に郵便局マークが。行ってみると、結構でかい。今までこんな近くにありながら気づかなかったのか。。視野狭すぎ。。。
入ってまずしなきゃいけないことは、同封されていた払い込み用紙に住所や氏名などを記入せねばなるまい。これは本当は電車の中でやってしまいたかったんだが、筆箱をどうやら院生室に忘れたらしく書くものがなかった。なので、郵便局にあるボールペンで書こうと画策。人のいないポジションを押えて記入。
う”、ボールペンにカスがつまっていてかなりヘタクソ。事前にチェック(レ)しなかったのが問題か。まあ読めればよい。。後はお金を払うだけじゃ。
順番待ちの番号札を取り、椅子に座ってまん前にあるテレビを見るともなく見る。なかなか順番ってこないもんだなぁ。テレビにも飽きて辺りをキョロキョロし始めたとき、何やら不吉な張り紙を確認。

『払い込みはATMを使用して下さい』

なにーーー。ATMを使って払い込みができるじゃと。今までそんなことはしたことないぞ。なんてハイテクなんだ。けれど、番号札を引いてしまったし、どうしようか…
とりあえず、待ってみると自分の番号はまだまだ遠いことが確認された。そして、張り紙をもう一度見直すと、わかりやすくやり方が書かれている。
まず”送金”を押して”用紙による払い込み”を押して…なるほど、5番7番10番のATMだとできるのか。。よぉし。。。(←番号は適当です)
結構簡単にできそう。こうして、ATMに行って払い込むことに。
さっきはなんてハイテクなんだ、とその機能に思ったけれど、機械自体はかなりレトロ。しかも、払い込み専用のATMっぽいぞ。こういうのが税金の無駄使いになっているのか。うちの方の郵便局では見たことがない。
前に立つと、どうやらこっちの存在を自動で認識しやがる。そして、さっき読んだ通りに操作。順調順調。払い込みの用紙自体もATMの中に投入。しばらくすると、その紙をスキャンした画像が表示される。
確認ボタン、電話番号、お金を払う、確認、確認で、いつもは元の用紙から切断したものをもらう受領証であるが、今回はスキャンしたものの該当部分を印刷したのがもらえた。
帰り際、番号札を取ってしまったことを伝えてから、もう一度さっきの張り紙を読むと、どうやらATMを使った方が40円お得らしい。なんでも、窓口で支払うと手数料がかかってしまうがATMなら無料とのこと。確かに、地元の郵便局はがっぽり数十円をせしめていた記憶があるな。
これで、Gmailを使ってバックナンバーを申請した野郎の支払いが済んだので、物性研究の担当者も一安心であろう。めでたしめでたしである。
そうこうしていたら、やっぱり学校に行く時間が遅くなった。着いて早々、昨日忘れたであろう論文と筆箱を探す。筆箱は院生室の共有部分で発見。そういえば、昨日帰る時、Nさんに急かされ、かつ、机の上が何だかわからなかったので、筆箱やらをいるものだけを共有スペースに運んでそこでバッグに詰めていたのだった。論文もどこかにあるはずじゃ。。。
がさごそがさっとしていると、騒ぎを聞き着けたA君登場。彼は家が学校から近いから、よく遅くまで学校に残っている。昨日も、ぼくらが帰った後も学校にいた。で、彼に論文はないかと聞くと、忘れて行ったから確保してある、と優等生丸出しの返答。よくやった*1
論文を受け取った後、何やら意味深な質問をしてきた。「パリティ持ってる?」ふむ、パリティが読みたいのか。そうかそうか。今月号は院生室で毎月取っているのにも関わらず届いてなくて、業を煮やしてぼくが自分で買ったからだ。
パリティは昨日鞄に入れて、その後出していないはずだから…と机に戻って探してみるがない。そういえば、昨日論文を探しまくってる時にも見た記憶がない。うーむ、どうしたのだろう。
そのことを伝えると、A君は1冊のパリティを取り出した。今日学校に来たらあったそうな。しっかり、院生室のものだという判子が押されている。。
ま、まさか、。、。。ぼくは論文と一緒にパリティも共有スペースに置き忘れ、それを院生室に届いたものだと思った雑誌係が判子を押したってわけかい。確かに、ゴミ箱には届いた後に残るであろう包装やらはなかった。がーん。。。。
これはぼくの100%の落度だ。雑誌係は何も悪くない。孔子の教えにもあるではないか。畑で靴を直しては行けない、果物のなる木の下で帽子を触っては行けない。疑わしきと誤解されるような行為は極力さけるべきだ。それができなかった。
とりあえずは、部屋のみんなに見てもらえればよい。今度、本物のパリティを探そう(←言葉だけ見ると、なんかかっこいい)。さっきまですっきりとした気分だったが、かなりくよくよしながらふっ切ったふりをした。。
この日はこの日でくよくよしながらも過ごして、家に帰るがやっぱりパリティはなかった。加えて、家で清水ヒロミチお兄さんを検索したがなかなか見つからない。調べていくうちに、その人は佐藤弘道さんであることを知る。。

*1:紙やら何やらを置いておくと、時たま捨てられてしまうのだ。